blog

疲れやすいのは体質?

疲労感で受診される女性患者さんに、いつ頃から疲れやすくなりましたか?と尋ねると、「子どものころから」とか「昔から」と答える人が少なくありません。「体質なんです」と言う方も結構います。体質を治すことは難しいです。ビタミンB依存体質といって、ビタミンBが普通の人の10倍から数10倍必要な人がいます。こういう体質を根本的に治すことは無理ですが、ビタミンB群を必要量まで増やせば代謝がスムースになり疲労も改善します。しかし、ビタミンB依存体質でない人の慢性疲労の原因は、体質ではなく単なる栄養欠損が原因であることが殆どなので治すことは可能です。
思春期の子どもは急激に身体が大きくなるため骨や血液をつくるのに鉄やタン白質などの栄養の需要が亢進しており、食事での摂取が少ない子はエネルギー産生がうまくいかず疲れやすくなります。場合によっては朝起きられない、学校に行けない、という状態になります。この状態を小児科の世界では起立性調節障害と診断します。男子は身長の伸びが止まれば栄養の需要が落ち着いてくるので鉄の貯金が自然と増えて元気になりますが、女子は生理が始まるためさらに鉄欠乏が進みます。そういうことで疲れやすいのは「子どものころから、昔から」というふうにお答えになるわけです。
疲れやすさを改善させるには、①代謝に必要な酵素の材料はタン白質なのでしっかりタン白質を摂取すること、②ミトコンドリアで産生されるATPというエネルギーで人間は生きているので、ATPをきちんと作るために鉄、ビタミンB群、ビタミンC、コエンザイムQ10などの栄養素を摂取すること、などが欠かせません。特に女性は生理で鉄の貯金が少ない人が多いので、鉄をしっかり補給してフェリチンを高めてあげることが重要です。