blog

小児科では起立性調節障害は治りません

朝起きられない、登校できない、頭が痛い、身体がだるい、といったような症状(起立性調節障害という変な病名をつけられます)でお困りのお子さんの親御さんは、何科を受診すればいいのかわからないようです。小学生なら迷わず小児科を受診するでしょうが、中学生や高校生のお子さんの場合、受診する科で迷ってしまうのも無理はありません。あるサイトでは起立性調節障害が疑われる場合、子どもが中学生や高校生であっても、小児科を受診することを推奨していました。①今の日本で起立性調節障害を専門的に診ているのは小児科であること、②小児科以外の科の医師にはあまり起立性調節障害の知識がないので正しく診断できない、③うつ病などの精神疾患と誤診されて抗うつ剤などを処方され症状を逆に悪化させていまう、などの理由からだそうです。確かに精神疾患と誤診されて向精神薬を飲まされてしまうことはよくありません。しかし、小児科を受診しても、血圧を上げる薬、漢方薬、頭痛に対しては痛み止め、といったように根本的な問題を是正する治療をしませんので、小児科に通院してもよくなりません。そもそも、朝起きられない原因が何かを理解できていないのですから根本的な治療も当然できません。症状が改善して登校できるようになった子どももいますが、これは小児科での治療が功を奏したのではなく、男子の場合成長が止まると鉄の需要が大幅に減り自然と貯蔵鉄(フェリチン)が増えてくるので自然に治っただけです。
起立性調節障害の治療法としてネットでは、漢方薬、整体治療、催眠療法なども挙げられていますが、この病気の原因を理解すれば自ずと分子整合栄養療法が第一選択になるはずです。朝起きられない、頭が痛い、だるい、意欲が湧かない、といった症状の原因は、鉄欠乏や低血糖症が原因(両者が合併している人も多い)である場合が殆どです。思春期は体格が急激に大きくなるので骨の成長や循環血液量の増大には鉄やタン白質が大量に必要になり、多くの子どもは鉄欠乏に傾むきます。さらに、鉄を多く含む肉をあまり食べない子どもは鉄欠乏が顕著になり、頭痛・易疲労・倦怠感・頭痛・意欲の低下などのさまざまな症状(鉄はエネルギー産生に必要なのでエネルギー不足になりますし、セロトニン合成にも欠かせません)が現れてきます。最近の子どもは糖質が好きで、パン、麺類、お菓子、アイスクリーム、ジュースを大量に摂取している子も珍しくありません。糖質中心の食事をしていると血糖が急上昇し、それに反応してインスリンが過剰に分泌され最終的に低血糖になっていまいます。血糖が低下するとアドレナリンなどのホルモンが大量に分泌され自律神経も乱れてきます。低血糖、自律神経の乱れも朝起きられない、だるい、頭が痛い、などの症状を引き起こします。
治療は、①貯蔵鉄が少なければヘム鉄を摂取してフェリチンを50ng/dl以上にする、②低血糖が疑われる場合は、砂糖の入ったものを断ち、炭水化物も白米にとどめタン白質中心の食事をする、といったことが根本的な治療になります。実際、大病院で改善しなかった中学生、高校生の患者さんが栄養アプローチによって登校できるようになっています。そのうちの一人の子は、栄養学に興味を持ち、管理栄養士になるための学校に進学しているとのこと、こういう話を聞かせてもらうと分子整合栄養療法をしていてよかったなと思う次第であります。