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医療の王道

医食同源というフレーズはみなさんもご存じだと思います。小学館さんの大辞泉によりますと「病気を治療するのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つために欠くことができないもので、源は同じだという考え。」と書いています。バランスのよい食事がいいと思われていますが、個々人栄養の需要、消耗が違いますので、どの食事がバランスがとれているとは一概に言えません。少なくとも、糖質の摂りすぎの食事はバランスの悪い食事と言えます。成長期の子ども、妊婦さん、生理のある女性、成人男性、高齢者ではそれぞれ多く摂るべき栄養の種類や量が違ってきます。また運動選手などもふつうの人とは食べる内容、量が違ってきます。個々人の需要、消耗の程度に応じた栄養を摂取することが重要で、これが病気の予防につながります。
栄養療法はまだ認知度の低い治療方法です。サプリメントなんか飲むと身体に悪いので飲むな、と指導する医師もかなり多いのが現状です。しかし、人間の細胞はすべて食べた栄養からできています。薬からはできていません。野菜でしたら日照不足、土の栄養不足、水不足などがあると枯れたりおいしくないものになったりします。人間の場合も、細胞の栄養濃度の乱れによって症状や病気を引き起こすと考えるのはごく自然なことだと思います。適切な食事を心がけていても、ストレスや過労などによって細胞の栄養濃度を維持できなくなり病気を発症してしまいます。その場合、食事だけでは細胞の栄養濃度を是正することは難しいので細胞を構成する分子(タンパク質・ビタミン・ミネラルなど)=治療用の高濃度の栄養素を補充する(栄養療法)わけです。この考えは医食同源の延長にあると私は思うのですが、なかなか栄養療法の概念を理解してもらえません。
病態によっては一時的に薬の力を借りる必要もあります。しかし、基本は食事と栄養が不足している場合は分子の補給(栄養療法)が医療の基本だと思います。数年前に船井総研の社長に私の中学校の同級生の中谷君が就任しました。彼が社長就任したと聞いた時に、ふざけて船井総研の社長あてににメールしたら、すぐにスタッフを2人をヒアリングのためにクリニックに派遣してくれました。そして、「栄養療法ではなく普通の保険診療に力をいれてください、保険診療の内容のHPを作ってください」、とうアドバイスをいただきました。以前から私のHPを作成してくださっている人に、その旨伝えると、「栄養療法は素晴らしい治療なのでもっと世の多くの人に知ってもらいたい、森谷さんには栄養療法メインで頑張って欲しい」と言われ、結局保険のHPは作らず(船井総研さんごめんなさい)、栄養療法のHPをリニューアルすることにしました。その方は、栄養療法と関連がある不妊や不育症のヤフーニュースがあると、メールで情報提供してくれいろいろとアドバイスをくださいます。先日も、ニュースネタの提供メールの中に「栄養療法は、本当は主流になるべきですし、いずれそうなるはずですが、現時点ではある意味、反主流の状況と言えますよね。」と書いてくださいました。私の師匠がポーリング研究所から帰ってきて栄養療法を日本で開始して今年で35周年です。以前に比べると、栄養療法を実践しているクリニックは増えてきているものの、まだ主流には程遠い状態ですが、栄養療法が医療の王道になるようにやり続けようと思った次第です。