blog

ピロリ菌除菌による副作用

ピロリ菌感染が、胃癌・胃潰瘍・十二指潰瘍・胃炎の原因になることは今では常識になっていますが、昔は胃の中は強い酸性なので菌が棲むことなどできないと信じられていました。胃炎、潰瘍などがあるピロリ菌感染の場合、保険で除菌治療を受けることができるようになっています。除菌治療には、ペニシリンとクラリスロマイシンという2種類の抗生物質と胃酸分泌を抑制するPPIという胃薬が使われます。除菌治療を開始すると、軟便、下痢といった副作用がよく起きます。これは、抗生物質をたくさん飲むので腸内細菌叢の乱れが生じるためです。他には、味覚異常などの副作用も報告されています。薬によって亜鉛排泄を促進させてしまう・唾液分泌を抑制してしまうことなどが味覚異常の原因になると考えられています。注意しないといけないのはぺニシリンアレルギーです。ペニシリンは青かびから抽出された抗菌成分ですが、これにアレルギー反応を起こす人が稀にいます。腹痛を伴う出血性の下痢や皮疹などが起きた場合は、ペニシリンアレルギーを疑いますので薬の内服は中止していただかないといけません。
高校生の長女が、お腹が痛いとよく言うので胃の内視鏡検査をしたら、ピロリ菌感染による鳥肌胃炎、萎縮性胃炎を認めたので除菌を行いました。薬を飲み始めて2日目くらいから、頭が痛い、身体がだるい、微熱がでる、といった症状が出てきました。除菌薬は7日間継続して内服するのですが、結局飲み終わるまで身体のだるさが消えず、学校も数日休んで寝込んでいました。この症状は少し前にもブログで書きましたが、死滅反応ではないかと思います。ピロリ菌が抗生剤で死ぬと中から毒素が漏れ出し、この毒素が腸から吸収されて全身に回ると、倦怠感・微熱・頭痛・咳などの症状が出ることがあり、これを死滅反応と言います。ピロリ菌以外の腸内の悪玉菌が死んだ毒素が漏れ出したことも影響しているのかもしれません。死滅反応の場合、除菌が終了すると症状はいずれ治まってきますので、経過観察もしくは対症療法(解熱鎮痛剤など)になります。