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栄養療法を実践する理由

私も昔は勤務医でした。消化管の検査や治療が多い病院で研修しましたが、やはり内科医なので薬の処方も多かったです。当然、病気は薬で治すものを思い込んでいました。しかし、がん治療に関しては、転移や再発したがんは抗がん剤での完治は難しいことは感じていました。自分の領域ではない症状の患者さんは、他科に紹介できたのでなんでも抱え込む必要はないのは気が楽でした。開業してもう少しで18年目になりますが、開業すると勤務医の時のように気軽に他科紹介はできません。手術や高度な専門治療が必要な患者さんは、大学などの大きな病院に当然紹介しますが、そうでない場合はなんとか症状を改善させる方法がないか思案しました。漢方の勉強会にもよく参加していました。漢方で症状がよくなる疾患や病態は多少ありますが、改善しない症状も多々ありました。何かいい治療がないか模索している時に出会ったのが分子整合栄養医学でした。師匠の生化学の知識と分子整合栄養医学の理論の凄さに圧倒され、生化学、生理学、薬理学に基づいた分子整合栄養療法こそが自分の求めていた治療だと感じ、一気にのめり込んでいきました。
当院に通院中の患者さんが、緊急的なことで大病院に入院しないといけない(肺炎、骨折、吐血、手術などで)ことが時にあります。大病院に勤務している医師は、保険による標準医療しか知りませんし、当然分子整合栄養医学がどういった学問なのか勉強していませんので当然栄養療法のことなんぞ何もわかっていません。民間療法の一種、サプリメントで商売している医者としか思っていないでしょう。私は勤務医をしていましたので、標準医療も経験していますし、栄養療法も勉強しています。ですから、標準医療の限界を知り、生化学や生理学に裏付けされた分子整合栄養医学の効果を知っています。高血圧や糖尿病、細菌感染症などは当然薬物療法が第一選択になります。しかし、一般的な血液検査診断(基準値内に入っていれば異常なし)や画像診断で問題なければ、「異常なし」とか「精神的な問題なので心療内科を受診してください」と言った症状を有する患者さんには、栄養療法が威力を発揮します。特に、うつ症状慢性疲労月経不順不妊症皮膚炎・湿疹がんの再発予防な、免疫力アップアンチエイジングなどは栄養療法が第一選択と言ってもいいくらい治療効果が高いです。
何度も言いますが、薬物治療も栄養療法もどちらも私は経験しています。そうのえで、この疾患・病態は薬物療法を、この症状・血液データなら栄養療法をと振り分けを行っています。栄養療法は、自費のサプリメントを使うのでどうしても初期コストは高くつきますが、根治を目指す治療方法なのでいずれ根本的に問題が解決され(細胞の栄養濃度が本来あるべき状態に戻ると)ますので治療から卒業が可能です。薬物療法は基本的に対症療法なので一生薬と付き合っていかないといけませんし、副作用のリスクもあります。こういったことが私が栄養療法を実践する理由なのです。