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産後うつを予防するために妊娠中から栄養摂取を

産後に体調を崩すことは珍しくありません。日本の妊産婦の死亡原因の1位は自殺です。自殺の原因は産後うつの場合が多いようです。産後うつとは、分娩後の数週間、ときに数カ月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態をいいます。一方、産後3日以内にみられる悲しさや惨めさなどの感情はマタニティーブルーと呼ばれ、多くの産婦が経験するもので、2週間ほどで自然に治ります。
妊娠出産は母体にとって非常に肉体的にも精神的にも負担が大きいです。赤ちゃんはお母さんから10か月間栄養をもらってお腹の中で成長しますが、この栄養は当然すべてお母さんからもらいます。ですから出産したときの母体はかなりの栄養欠損に陥っています。さらに出産時に出血が多ければ、血液は鉄・タンパク質などからできているので出血=鉄やタンパク質を多く失う、ということになります。心を安定させる脳内神経伝達物質のセロトニンは、必須アミノ酸・鉄・ビタミンBなどから合成されます。鉄やタンパク質が不足すれば当然セロトニンもきちんと合成できませんので、産後にうつ症状を呈することは珍しくありません。
gdmクリニックでは不妊治療で妊娠した方に、「妊娠はゴールではなく赤ちゃんにとってスタートにすぎません。栄養の必要性は妊娠前よりも妊娠中の方が高まっていますので、妊娠中こそしっかりと栄養素を摂取してください。」とアドバイスしています。妊娠中にしっかりと鉄、プロテイン、ビタミンB群を摂取しておくと、母体の産後うつの予防にもつながりますし、質のいい母乳を上げることもできます。
栄養療法で妊娠された方の多くは妊娠中もしっかりと栄養素の摂取を続けられています。そのため、出産後に体調不良になる人が殆どいませんし、赤ちゃんの成長も健やかです。妊娠中もしっかりと栄養素の摂取をされることをお勧めします。