デンマーク乳がん臨床試験グループの臨床データベースを用いて、1987年から2004年までに乳がんと診断を受けた女性患者の10年以降の再発リスク、診断時の患者さんのデータと診断から10年以上経過後(最長32年)の再発との関連を検討した結果が先日報告されていました。乳がんと診断された女性3万6924人のうち10年生存率者は2万315人で、このうち10年から32年後に2595人の乳がんの再発を認めたそうです。尚、がんのサイズが2cm超、リンパ節転移陽性、エストロゲン受容体陽性の人に再発するケースが多かったそうです。
一般的に固形がんは術後5年再発がなかったら一安心ですが、乳がんだけは別で術後10年目に再発することは稀ではありません。師匠がよく言われていましたが、乳がんは全身がんと考えて治療にあたらないといけない、と。骨に乳がん細胞が潜んでいるのではないかとい説もあります。乳がんと診断され外科切除をしたあとに放射線治療を追加するケースがありますが、手術した時点で全身に微小乳がん細胞がちらばっているなら局所の放射線治療は意味がありません。
以上のように乳がんはなかなか油断できないがんと言えます。乳がんを再発させないためには、術後早期に標準治療(ホルモン療法)と栄養療法を行うのがよいと思っています。栄養療法としては、貧血是正・アルブミンを高値に保つ、高濃度ビタミンC点滴、ビタミンAやビタミンDによる分化誘導療法などです。