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メトホルミンでアンチエイジング

先日、アンチエイジング目的でのメトホルミンの処方をしていますか?という問い合わせがありました。メトホルミンとは2型糖尿病の治療でよく使われるビグアナイド薬という種類の薬です。メトホルミンは、肝臓が糖を放出するのを抑制・末梢での糖の取り込みを促進することでインスリン抵抗性を改善・消化管からの糖吸収抑制、などの作用によって血糖値を改善させる薬です。かなり古い薬ですが、一時乳酸アシドーシスという副作用を恐れられて使われていませんでした。最近また効能が見直されて糖尿病治療で8割ほどの患者さんに処方されている糖尿病治療の第一選択薬と言われています。gdmクリニックでも糖尿病患者さんにはメトホルミンは必ず処方の中に入れる薬です。
米国や英国の研究でメトホルミン内服による
寿命、心筋梗塞などの心疾患、がん、などの発症の差を調べた結果、動脈硬化の抑制・心血管疾患発症リスクの減少・寿命の延長・大腸ポリープの発症軽減、などの効果があることが判明しました。こういった研究報告により、メトホルミンはアンチエイジングに効果があるというふうに捉えられるようなり、アンチエイジングやダイエット目的で自費で処方するクリニックが増えているようです。多くの方はアンチエイジング=肌の若返りと思いメトホルミンに飛びつこうとしているのだと思いますが、美肌効果は期待できません。また、がん発症抑制効果はなかったという研究報告もあります。
しかし、薬には変わりありませんので、副作用がつきものです。メトホルミンの副作用には、乳酸アシドーシスと下痢・食欲不振があります。腎機能の低下は、メトホルミンの重篤な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があるので、ヨード造影剤を使用する検査をする場合は前後2~3日程度メトホルミンの内服を中止することが必要です。
栄養療法医としては薬ではなく他の手段(栄養摂取)でアンチエイジングを図りたいので、メトホルミンを糖尿病患者さん以外には処方する気にはなりません。