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鉄は吸収されにくい栄養素

人間は鉄を積極的に排泄する機能を有していません。過剰となった鉄は、肝臓・心臓・内分泌器官などに沈着し、臓器障害(肝障害、心不全、不整脈、糖尿病など)が発生します。ですから鉄が過剰にならないように腸管、網内系、肝臓などの様々な臓器が協調して鉄の吸収を厳密に調節しています。ですからなかなか鉄は吸収されにくく、吸収率のいいとされているヘム鉄を摂取しても貯蔵鉄もすぐには簡単に増えてくれません。また吸収には個人差があり、吸収されやすい人とされにくい人がいます。ストレス、ピロリ菌感染、胃酸分泌低下などがあると吸収されやすいヘム鉄を摂取してもなかなかフェリチン値が増えない人がいます。ある一定量を超えると摂取するとぐっと貯蔵鉄が増えていますが、だれが吸収が悪いかは事前に分かりませんので貯蔵鉄の値を見てこれまでの経験から処方する量を決めます。再検査で貯蔵鉄が増えていなければ、ヘム鉄の増量をしたり、胃に症状がある人は胃内視鏡検査を行ったりします。
保険の鉄剤は吸収が悪いのと活性酸素を発生させて胃腸障害を引き起こすので基本的には使いません。最近流行りのキレート鉄は吸収が異常であっという間に鉄過剰になってしまいます。キレート鉄は鉄をアミノ酸と結合させて腸を鉄ではないと誤認させて無限に吸収されてしまいます。先ほども書きましたが、鉄を積極的に排泄する機能を人間は持っていないので過剰になった鉄はやっかいなことになってしまいます。
自然界に存在する形の分子(栄養)は、腸が賢いので過剰にならないように調節してくれますが、人工的に加工したものは過剰のリスクがあるのです。安いからといってキレート鉄を安易に飲まないようにしてください。摂取するならヘム鉄です。