blog

保険の亜鉛薬で胃粘膜障害

ノベルジンという亜鉛の薬が何年か前に発売されました。亜鉛は、細胞分裂や各種酵素の材料として重要な役割を果たしています。亜鉛が不足すると、味覚障害、食欲不振、湿疹、皮膚炎、口内炎、貧血、創傷治癒遅延、成長不良(低身長)などさまざまな障害をもたらします。最近この亜鉛の薬による胃粘膜障害が何件か報告されています。じゃあサプリメントの亜鉛でも同様のことが起きるかというとそうではないようです。薬の亜鉛は酢酸亜鉛が主成分で、酢酸亜鉛は胃で速やかに解離して亜鉛イオンになり、小腸のトランスポーターを介して吸収されます。胃腸障害の副作用の犯人は酢酸イオンではなく、亜鉛イオンです。このように胃で速やかに解離させるのは亜鉛の吸収性を重視したためですが、この結果大量の亜鉛イオンが胃粘膜を傷害するようです。
私も亜鉛のサプリメントを1日90mg摂取していますが、胃粘膜障害は起きていません。gdmクリニックの亜鉛はアミノ酸などと結合した形なので胃ではゆっくり解離するので胃粘膜障害を引き起こしにくいと考えられています。ちなみに胃潰瘍治療薬のプロマックには亜鉛が含まれており、ノベルジンが発売されるまでは亜鉛不足を補う目的で処方している医師も少なくなかったです。亜鉛は胃潰瘍の治療に有効だと思っていた医師は、今回の亜鉛薬による胃粘膜障害にはびっくりした人も少なくないと思います。このプロマックに含まれる亜鉛はL-カルシノンと結合しているので、傷ついた胃粘膜に付着しそこでゆっくり解離して浸透して傷の治癒を促してくれ、胃粘膜障害は起こさないようです。