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皮膚炎の治療には根気が必要です

皮膚炎や湿疹は、最初の治療が肝心です。アトピー性皮膚炎と診断されている皮膚炎の多くはステロイドによる医原病だと思っています。赤ちゃんは成長が盛んなので亜鉛が消耗されます。乳児湿疹の多くは亜鉛不足などの栄養不足が原因です。治療は、ステロイドではなく亜鉛などの皮膚を健全に保つための栄養の補給になります。それなのに皮膚科に行くとすぐステロイドを塗るように指示されます。ステロイドは皮膚萎縮や皮膚の免疫能を破たんさせる作用があるので、結果的に皮膚が弱くなりアレルゲンが侵入しやすくなって本格的なアトピーに移行します。
高校生や成人になってから発症する皮膚炎も栄養不足やストレスが主な原因です。タン白質、ビタミンA、鉄、ビタミンB、亜鉛などが皮膚の健全化に欠かせませんが、炭水化物中心の食事でこれらの栄養が不足すると湿疹や皮膚炎が起きます。皮膚のバリア機能も低下しているので、化粧品やシャンプー、リンス、カラーリングなどによる接触性皮膚炎(いわゆるかぶれ)も起きやすくなります。あと、ストレスも皮膚炎の大きな原因になります。なぜなら、ストレスがかかると副腎ががんばって抗ストレスホルモン(アドレナリンや副腎皮質ホルモン)を分泌しないといけないからです。ストレスが持続すると抗ストレスホルモンの分泌のために副腎に負担がかかり副腎疲労状態になりますし、ストレスに対抗するために副腎皮質ホルモンが消費されるので皮膚炎が悪化します。栄養不足が原因の場合は、不足栄養素の補給をすること、かぶれが原因の場合は原因物質を使わないようにすること、などが根本的な治療になります。しかし、ステロイドかプロトピック軟膏などの免疫抑制剤しか処方されないので、言われた通りにまじめに塗っていると皮膚萎縮や皮膚免疫能破たんが生じ、最終的に皮膚炎が全身に広がるケースが多いです。
ストレスは目に見えないので、どのように皮膚炎に悪さをしているのかなかなか実感が湧きにくいと思います。高校や大学受験はかなりのストレスになります。就職も慣れないことばかりで、しかも一番の下っ端なので気も使います。大人になって悪化した人に問診すると、かなりの確率で受験や就職を機に皮膚炎を発症しています。中には結婚を機に悪化したという人もいて、この患者さんにとって結婚も環境の変化・奥さんが怖い?などで精神的ストレスになっているのかなと思ったことがあります。ある受験生の母親に、受験が終われば皮膚炎もよくなりますよ、と励ましのつもりで言ったら、私の言葉にかなり憤慨した人がいました。このお母さん自体もその子にとってストレッサーになっているのではと思いました。ストレスが関与している皮膚炎にはとにかくビタミンCです。抗ストレスホルモンの材料がビタミンCやコレステロールだからです。
発症初期にgdmクリニックを受診してくれたら治療期間は短くて済むのですが、多くの方は皮膚科でステロイドを塗りまくって悪化してからの受診なので治療は難渋します。ステロイドをまず塗るのを止めない限り皮膚萎縮は改善しません。皮膚の免疫能が回復するには塗った期間の何十倍もの歳月が必要です。ステロイドを長期間塗ると副腎機能が低下していますので、副腎機能回復も同時に行わないといけません。そのため、ステロイドを塗っていた人の皮膚炎の治療はかなりの年月と根気が必要になります。すぐ治る魔法のような皮膚炎治療はありません。どうしてもステロイドを止めたい、きれいな皮膚に戻したいと切望する方でないとなかなか栄養療法による皮膚炎治療はうまくいきません。