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栄養療法を成功させるには胃が重要

私は栄養療法を本格的に導入する前は、胃や大腸の内視鏡検査をメインに開業していました。胃腸と栄養素の消化吸収は密接な関係がありますので、栄養療法を実践するにあたって消化器内科をかじっていてよかったとつくづく思います。
まず、胃の状態がよくないと栄養がうまく消化吸収されませんので、栄養療法を始める前に胃の状態を整えておく方が栄養素の吸収効率があがります。具体的に言いますと、ピロリ菌感染がある場合は除菌をしておくことです。ピロリ菌感染があると、胃粘膜に炎症がおき粘膜が老化(萎縮)してきます。萎縮が進むと、胃酸分泌や内因子の分泌が低下します。胃酸が低下するとタン白質の初期消化がうまくいかなくなりますし、カルシウムや非ヘム鉄の吸収も低下してしまいます。内因子とはビタミンB12の吸収に必要なものですので萎縮が進むとビタミンB12不足になっていきます。
ピロリ菌感染がなくても胃酸に分泌が悪い方がいます。A型胃炎という自己免疫性の胃炎の方は胃酸分泌が低下しています。こういう場合は、消化酵素を飲みながら食べ物の消化をしっかり行う必要があります。また、ストレスが強い方も胃酸の分泌が低下(PGⅠが低い)していることがよくありますので、ストレスコントロールや消化酵素の摂取が望ましいです。
歯が抜けてない、かみ合わせが悪い、口内炎ができて痛くて食べられない、などの口腔内トラブルがあると食べ物ををしっかり噛むことができませんので、口腔内に問題がある方は歯科できちんと治療を受けることも重要です。