blog

直美

「直美」ってご存知ですか?この「直美」は医療従事者専用サイトでもよく話題になっています。私の知り合いにも直美(なおみ)さんはいますが、今日のタイトルの「直美」は女性の名前ではなく初期研修を経て専攻医のトレーニングをきちんと積むことなく、いきなり美容外科業界に入る「(じかに)に容系のクリニックに就職する」医師のことを指します。読み方は「ちょくび」になります。
先日新規開院した美容皮膚科の折り込み広告を見つけました。院長の経歴は2年の初期研修を経たあとに1年だけ大学病院で勤務して美容外科に就職しているようになっていました。いわゆる直美(ちょくび)Dr.のようです。私の場合は、1年間放射線科でCTなどの画像診断の基礎研修、その後3年近く外科の病院で画像診断の仕事の傍ら、胃・大腸内視鏡検査やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)・外科手術の助手・外傷の縫合などの臨床経験を積んだ後、内科に転科して消化器内科の仕事を中心に内科の研修を受けました。その後は田舎の総合病院で勤務しましたが、心臓疾患・てんかん・脳梗塞・脳出血なども全て内科が担当しないといけないのでいろいろな疾患や病気の治療を経験することができました。そういったベ経験のもとに栄養療法を現在行っていますし、今でも消化器内視鏡検査や一般内科診療も行っています。医学部を卒業していきなり栄養療法医(直栄)になろうと思っても無理で、一般的な臨床経験を積んでいないとまっとうな栄養療法医にはなれません。この疾患は栄養療法が有効だけれど、この疾患は栄養療法では無理なので薬物治療が必要だ、といった風に判断しないといけないことがしばしばあるからです。
岡山のような地方都市でも、美容皮膚科や形成外科のクリニックがここ数年で一気に増えました。それだけニーズがあるのと自由診療なので自由に価格を決められるので経営的においしいのだと思います。その一方でgdmクリニック周辺では、高齢や後継者不在等で閉院された内科医院が複数あります。これからますます高齢化が進んでいきますので、内科医の需要が高まるはずですが、財務省の推し進める医療行政改悪や物価高、人材難等で保険診療をメインに行っている医療機関の経営は逼迫しており、美容系の開業に比べるとあえて経営的に苦しくなりそうな内科の医院を開業する人は少なくなる一方です。
国としても直美問題に対して何等かの対策を講じないといけない時期にきているのではないかと思う次第であります。