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日本を含む11ヵ国の大腸がん症例の全ゲノム解析によって発がん要因を検討した結果、「日本人症例の50%に一部の腸内細菌から分泌されるコリバクチン毒素による変異シグネチャーが認められ、これらの変異シグネチャーは50歳未満の若年者において高頻度に認められ、高齢者と比較して3.3倍多かった。」という国立がん研究センターを含む国際共同研究チームによる報告が、Nature誌オンライン版2025年4月23日号に掲載されました。
腸内細菌の乱れる原因はいくつか考えられます。不適切な抗生物質の処方、糖質の過剰摂取、食物繊維摂取不足、歯周病などが原因として挙げられます。糖質のなかでも特にジュースなどによく含まれている果糖ブドウ糖が悪さをしているようです。果糖ブドウ糖は、トウモロコシから果糖成分を抽出して酵素や酸を加えて人工的に精製したもので、果物とは全く無縁のものです。この果糖ブドウ糖によって腸内細菌叢が乱れたり(潰瘍性大腸炎と関連あり)、果糖の代謝産物が癌増殖の因子になったりしているという報告もあります。最近若い世代の大腸癌が急増しています。赤肉の摂取が大腸癌の原因という説もありますが、日本人が食べる赤肉の量などたかが知れています。私は、若年者の大腸癌の急増の原因としては果糖が大きく関係しているのではないかと考えています。