月経前症候群 (PMS)

月経前症候群(PMS)とは「月経の2週間ないし1週間位前からおこり、月経開始とともに消失する、周期性のある一連の身体的、および精神的症状を示す症候群(いろいろな症状の集まり)」と定義されています。
わかりやすく言えば、月経の前に体や気持の調子が悪くなり、次の生理の始まりとともに自然に軽快するいろいろな症状ことをいいます。

PMSの主な症状としては、頭痛・乳房痛・下腹部痛・むくみ・にきびといった身体的症状と、怒りっぽくなる・不眠・鬱・涙もろくなる・感情の起伏が激しいといった精神的症状があります。
PMSの患者さんにピルや抗鬱剤を処方する婦人科医が多いですが、これらの薬物治療は対症療法にすぎませんし、分子整合栄養医学的には、ピルにはビタミンB欠乏・肝障害・血栓・ガンなどの副作用、抗鬱剤には自殺企図・ビタミンB欠乏などの副作用があるので到底お勧めできる治療方法ではありません。

PMSは体内の過剰な水分貯留が原因とされており、エストロゲンとプロゲステロンのインバランスや抗利尿ホルモン(バソプレシン)が関与しているので、パーム油から抽出した利尿作用のあるγ‐トコトリエノール・γ‐トコフェロール、エストロゲンの代謝を高めるビタミンB6などの栄養素摂取でホルモンバランスが整い、多くの場合月経前症候群のつらい症状は解消されます。

  • 栄養素代:1~3万円/月
  • 推奨栄養素:天然ビタミンE同族体(γ‐トコトリエノール、γ‐トコフェロール)、ビタミンB6、γ‐リノレン酸、カルシウム、マグネシウム

補足

  1. PMSの症状は、排卵期から月経が始まる数日前にかけて出現します。ちょうどこの時期にエストロゲンよりもプロゲステロンの分泌が増えるので、このエストロゲンとプロゲステロンのインバランスがPMS発症に関与していると考えられます。
  2. 月経前症候群の様々な症状を引き起こす原因は過剰な水分貯留と考えられています。水分貯留が多い場所に症状がでてきますので、人によって症状が違います。水分貯留部位が乳房組織だと乳房のハリや痛み、内耳だとめまい、関節内だと関節痛、脳内だと頭痛といったふうに症状は様々です。PMSの症状のある間はむくみが持続して起こるかというとそうでもなく、むくみの程度にも増減があります。このむくみの程度の乱高下が激しいと精神神経症状がでやすいのですが、γ‐トコトリエノールを摂取すると尿量が増えて緩やかにむくみが軽減され、症状を改善させるという報告もあります。
  3. γ‐トコトリエノール、γ‐トコフェロールを摂取すると、γ体の主要代謝産物であるγ‐CEHC(carboxyetyl hydroxychroman)への代謝が亢進し、過剰なナトリウムや水分を体外に排出するという利尿作用があります。α‐トコフェロールにはこのような効果は認められません。
  4. ストレスなどの心理的な因子や環境の変化もPMSに関与しており、自律神経を安定させるCa・Mgの摂取も有効です。
  5. ピルを安易に処方する産婦人科医が多いですが、副作用を考えると私はピル投与に反対です。特に妊娠する可能性のある年代の女性の場合、ピルを連用すると葉酸などのビタミンB不足を生じ、二分脊椎という神経管異常の赤ちゃんが生まれるリスクが高まります。