blog

ミトコンドリアと妊娠

ミトコンドリアは細胞質に存在する小器官で、糖質などの栄養素を分解してATPというエネルギーを産生していますが、細胞の老化はこのミトコンドリアの減少や活力の低下に関係しています。受精するにもエネルギーが欠かせません。特に精子や卵子などの生殖に関係する細胞にはこのミトコンドリアが多量に存在するため、ミトコンドリアの老化が不妊に影響を及ぼしてしまいます。不妊症の女性の高齢化に伴う卵子の老化は、このミトコンドリア活性や数の減少・活力の低下が関与していることがわかっています。
最近話題になっているのがミトコンドリア注入法です。患者さん本人の卵巣より腹腔鏡にてあらかじめ取り出して抽出したミトコンドリアを、顕微授精時に細胞内に注入する方法で、ヨーロッパでは注入法を受けた患者さんの10%以上の妊娠例があるといわれております。
ミトコンドリアでATPを産生する際に活性酸素も大量に発生し細胞を老化させてしまいます。これを防ぐには抗酸化物質(ビタミンEやビタミンC)をしっかり摂取することです。ミトコンドリアを増やすためにミトコンドリア含有のサプリメントを飲んでいる人もいますが、消化酵素で分解されてしまうので意味がありません。ミトコンドリアには鉄が欠かせませんのでしっかりとヘム鉄を補充することが重要になります。ちゃんとATP産生を行うためには、カルニチン、ビタミンBも欠かせませんし、カルニチン合成にはビタミンCも必要です。尚、喫煙やマラソンなどのハードな運動も活性酸素を大量に発生させてミトコンドリアを傷つけますので、喫煙や過度な運動はやめた方がいいです。