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なぜアルブミンを測定しないのか?

私は血液検査データをみるときにまずチェックする項目はヘモグロビンとアルブミンです。貧血と低タン白がとにかく万病の元だと思っているからです。これは師匠に教えていただいた基本中の基本です。しかし、この2項目は一般的な病院ではあまり重要視されていません。大病院に通院中の患者さんが、その病院で検査した結果を持ってこられることがよくあります。先日は心不全で通院中の方のデータを見させてもらいましたが、アルブミンを測定していません。さすがにCBC(貧血)は調べていましたが、肝心のアルブミンを測定していません。
軽い貧血や低アルブミンの患者さんは高齢者に珍しくないので医者も気にしません。軽い貧血を積極的に治療することはありませんし、アルブミンが下がっていても保険治療ではアルブミンを上げる手段はありません(肝硬変の場合に限り点滴や内服薬が認められます)ので、低アルブミンを是正しようとしません。アルブミンが高い老人は元気で長生きの人が多いので、アルブミンは長寿マーカーのひとつです。タン白質は、血液・免疫細胞・抗体・筋肉・酵素などの材料として非常に重要です。癌治療においてアルブミン値を高めておくことは非常に重要です。また薬はアルブミンと結合して全身に運ばれますので、低アルブミンですと、薬の効果が出にくく副作用が出やすくなってしまいます。
ヘモグロビンやアルブミンが下がった状態ですと、どんな治療もうまくいきません。
今の治療がうまくいっていない場合は貧血と低アルブミンが放置されているのかもしれません。何はともあれ、貧血と低アルブミンの是正が重要です。