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鉄欠乏のない起立性調節障害

朝起きられない、登校できない、頭が痛い、だるい、こういった症状の子どもは「起立性調節障害」と診断されることが多いです。起立性調節障害の一番の原因は鉄欠乏です。思春期に背が急激に伸びます。骨が伸びるのに鉄が必要です。また体格が大きくなれば循環血液量も増えますので造血のためにも鉄が大幅に使われます。そのため思春期の児童生徒は鉄欠乏になりやすいです。思春期でなくても、子どもは殆どが鉄欠乏もしくは貧血状態にあります。私の次男は5歳から血液検査をしていますが、常にヘモグロビンが基準値以下です。次男は肉が大好きでステーキでも300gは食べますが、それでも貧血です。肉をあまり食べない家庭の子はさらに鉄が不足している可能性があります。
フェリチンで鉄の過不足を診断するのですが、フェリチンが高いのに朝起きられない子も稀にいます。こういう場合、鉄欠乏が原因と考えにくく、他に原因を探らなければいけません。鑑別診断としては、機能性低血糖症、副腎皮質機能低下、下垂体機能低下などが挙げられます。食物遅延型アレルギーの検査も考慮する場合もあります。食物遅延型アレルギーや機能性低血糖症はまだ一般の医療現場で認知されていないのでなかなか診断がつけられないかもしれません。副腎皮質機能低下や下垂体機能低下は内分泌内科で検査すれば診断がつく病態です。
フェリチンが70ng/ml以上あっても朝起きられない場合は、内分泌内科や機能性低血糖症の検査をしている医療機関で精査したもらったほうがよいかと思います。