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加齢性黄斑変性症

今年の3月に和田アキ子さんがラジオ番組内で、左目が加齢黄斑変性症と診断されたということをお話しされたそうです。黄斑変性症とは、物を見る網膜の中心部分の黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変性していく病気です。症状は、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見える、などです。欧米では中途失明原因のトップが加齢黄斑変性です。日本でも近年患者数が増えています。
網膜全体にはカロテノイドの一種のルテインが多く存在しており、黄斑部分の殆どはゼアキサンチン(カロテノイドの一種)から成り立っています。ですから黄斑変性症はゼアキサンチン不足によって生じている疾患と言えます。カロテノイドは抗酸化作用を有しており、活性酸素の処理に利用されます。黄斑変性症の患者さんは、喫煙者、糖尿病、紫外線をよく浴びている人に多く発症していることが判っています。ですから、禁煙、糖化によって発生したAGEsの消去、サングラスの着用によって紫外線から網膜を守る、などの抗酸化アプローチは予防のために重要です。
黄斑変性症は食生活とも関連があると考えられています。カロテノイドは脂溶性のビタミンなので、脂ものを食べない和食派の方、菜食主義の方はゼアキサンチンなどのカロテノイドの吸収が悪くなります。カロテノイドの吸収だけでなく脂溶性のビタミンA、D、E、KやEPA、DHAなどの吸収のためにも、適度の脂の摂取も必要です。