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マラソン選手の差し込み(脇腹痛)の原因

先日行われた東京五輪のマラソン代表選手を決めるマラソングランドチャンピオンシップの男子のレースは大変見応えのあるものになりました。日本記録保持者の大迫傑選手に33km地点で差し込みが襲ったようで、脇腹を押さえながら走っていました。結局、ラストスパートの余力は残っておらず3位という残念な結果に終わってしまいました。
情報ワイド番組でもこの差し込み(脇腹痛)ついて解説されていました。原因は肝臓の揺れによる横隔膜の引張、脾臓からの急激な血液の流れ、腸内のガスによる腸管の張り、などだそうです。横隔膜は焼肉で食べるハラミになりますが、呼吸に必要な筋肉です。横隔膜の痛みは、①筋肉中に蓄えられていたエネルギー源が枯渇しエネルギーを新生するために筋肉中のタンパク質が分解される筋肉に異変が起きるため、②横隔膜を養う血管の攣縮、③横隔膜筋の酸欠(ミオグロビンが少ない)、などによって痛みがでるのではないかと私は考えています。横隔膜筋の痙攣や横隔膜を養う血管の攣縮を予防すれば差し込みが起きにくくなるのではなるかもしれません。血管の攣縮は、カルシウム不足やアラキドン代謝異常で発生します。走行中は大量に汗をかきますので、カルシウムなどのミネラルが汗から失われているはずです。ならば、途中の水分補給で適切な形でエネルギーを摂る、BCAAをしっかり摂取する、カルシウムをしっかり摂取する、血流をよくするビタミンEを摂取する、アラキドン代謝を改善すること、ミオグロビンを増やす、などの栄養アプローチによって差し込みを予防できるのではないでしょうか?尚、腸管のガス対策は、腸内細菌の改善が有効だと思います。
MGCの女子のレースでは岡山のてんまや陸上部の前田穂南選手が見事優勝して東京五輪代表の座をつかみました。今までも、何人もてんまや陸上部の選手が五輪のマラソン代表になっており、ある機会に天満屋の伊原木会長(娘さんと中学高校が一緒だったご縁があります)に、栄養療法をするとマラソンの成績が上がりますよ、とお伝えしたことがあります。しかし、チームDr.が既におられましたので、私の出る幕はなく栄養療法を受けることなく五輪の臨まれました。結果は・・・でした。大迫選手、前田選手に是非栄養療法を行って勝利を勝ち取って欲しいものです。