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健康のために行っている運動で風邪をひきやすくなる?

患者さんに、「数か月前から筋トレをめっちゃするようにしてるんですけど、なぜか最近よく風邪をひくようになって」と相談されました。運動は健康によいと信じている人が多いですが、私はマラソンなんぞ絶対にしません。愛犬さんじとの散歩を40分から1時間する程度の運動しかしません。
人間の細胞を作るアミノ酸は20種類あり、体内で合成できない必須アミノ酸が9種類と体内で合成できる非必須アミノ酸が11種類あります。そして人体にある非必須アミノ酸のうち、半分以上がグルタミンです。体内で合成できるので補給が必要ないと思われがちですが、グルタミンは需要が多いアミノ酸なので、体内で合成が間に合わないときには外から摂取する必要のある「準必須アミノ酸」に位置付けられています。
グルタミンは筋肉や血中の多く存在していますが、激しい運動やトレーニングをすると、筋肉組織が壊されます。そのため、筋肉を修復するために体内に蓄積していたグルタミンをエネルギー源として使うため、たくさんのグルタミンが消費されてしまいます。グルタミンは、免疫の主役である小腸粘膜のエネルギー源免疫細胞の材料としても必要とされるアミノ酸なので、運動やトレーニング後にグルタミンの補充をしないと、免疫能が低下してしまうわけです。フルマラソンを走ったランナーの約50%がレース後に風邪をひいてしまった、というイギリスの研究報告もあります。ですから、冒頭の患者さんもタンパク質摂取を十分に行わずに筋トレを行ったために風邪をひきやすくなっていたわけです。
ハードな運動、筋トレの後にはグルタミンを含むプロテインの摂取をしっかり行う必要があります。