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朝起きられない、だるい、頭が痛い、お腹が痛い、めまいがする、意欲が湧かない、などの症状で登校できない児童生徒が少なくありません。元気に遊びまわっていた子が、部活動をバリバリしていた子が、急に朝起きられなくなるので親御さんもびっくしります。そしてまず親御さんが思うのが、何か学校で嫌なこと、精神的につらいことがあったのではないかと。精神的なことが学校に行けなくなる子もいますが、大半の子は肉体的なことが原因です。このような症状で小児科を受診すると、たいていの場合「起立性調節障害」と診断されます。
ブログで何度も書いていますが、起立性調節障害は自律神経の失調ではなく、エネルギー不足が主な原因です。起立性調節障害は思春期の子どもに見られるものですが、これは思春期=成長期だからおきる病態なのです。つまり、背が伸びる=骨が伸びるにはカルシウムだけでなく鉄やタンパク質が必要になります。体格が大きくなればそれに伴い、循環血液量も増えなければいけませんので、造血のために鉄、タンパク質、ビタミンB群が消耗されます。鉄はエネルギー産生に欠かせませんので、不足するとミトコンドリアでのエネルギー産生が低下してしまいます。また、セロトニンというやる気を出す脳の神経伝達物質は、鉄・ビタミンB群・タンパク質などから合成されますので、意欲の低下も起きえます。
男子の場合、背が伸びるのが止まれば徐々に鉄の貯金が増えて自然に治ることが多いですが、まれに高校生になって背の伸びが止まっていても鉄の貯金が枯渇している生徒がいますので血液検査が重要になります。起立性調節障害の治療は、小児科や内科では無理です。なぜなら、原因を自律神経失調と捉えているからです。栄養欠損によるエネルギー産生不足という認識のもと、不足している栄養素の摂取をしなければ劇的な改善は見込めません。また、基準範囲という概念にとらわれているので正しく栄養の過不足の評価ができませんし、そもそも栄養欠損という概念もありません。
起立性調節障害(私はエネルギー産生障害という診断名の方がいいと思っていますが)を早く治すには、まずは分子整合栄養医学的な血液検査をして栄養状態の把握をすること、次に治療用の高濃度の栄養素を用いて治療することにつきます。保険の鉄剤は非ヘム鉄なので吸収率が悪いのでフェリチンがなかなか増加しませんし、活性酸素を発生させるので胃が痛い、むかむかする、下痢する、といった副作用もよくおきます。鉄剤の静脈注射はもっと危険です。市販のヘム鉄は含有量が少なすぎてフェリチンが増えません。
副作用なくできるだけ早く起立性調節障害(エネルギー産生障害)を治したい場合は、是非とも分子整合栄養医にご相談ください。