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子宮・膣内フローラ

腸内細菌叢(フローラ)をよくすることの重要性はかなり浸透してきていると思います。腸以外にも人間には様々な菌が棲みついています。口腔、食道、皮膚、膣、子宮などにも常在菌がいます。免疫力が低下したり、抗生剤を飲んで腸内細菌叢が悪化すると、全身の細菌叢が乱れて食道カンジダや膣カンジダを発症することがあります。
2016年に不妊と腟及び子宮内の細菌叢の関係を調査した結果、子宮内細菌叢中のラクトバチルス菌の割合の低下が体外受精患者の妊娠率・着床率・妊娠継続率・出産成功率の低下と相関していることなどが報告されています。ラクトバチルス菌を増やすのに有効なのがラクトフェリンです。ラクトフェリンは鉄結合性糖タンパク質で、母乳中に含まれている成分で、特に初乳に多く含まれています。ラクトフェリンは乳以外にも、涙、鼻汁、唾液などの外分泌液や粘液、好中球などにも存在しています。ラクトフェリンは、細菌の生存・増殖に必要な鉄を奪うことで細菌の発育や増殖を抑える働きをもっています。赤ちゃんは母乳からラクトフェリンを得ることで感染を防御しているものと考えられています。
膣内のラクトバチルス菌が有意に減少している早産を繰り返す患者さんにラクトフェリンを摂取してもらったところラクトバチルス菌が増加し妊娠したという事例や、体外受精でなかなか着床しない患者さんがラクトフェリンを摂取したところが無事妊娠したという事例などが数多く報告されています。
栄養状態が改善してもなかなか妊娠しない場合は、子宮・膣フローラの改善を試みることをお勧めします。