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フェリチンは腫瘍マーカー

フェリチンは鉄を貯蔵する可溶性蛋白で、分子整合栄養医学的には鉄の貯蔵量を知るために主に測定します。しかし、普通の診療科ではあまり重要視されていません。血液検査の本には、悪性腫瘍の時に高くなるので腫瘍マーカーの一種という位置づけにされていることもあります。また、感染や炎症でもフェリチンは高くなります。COVID-19感染で重症化している人はフェリチンが高いことが多いらしく、フェリチン高値=コロナ重症化→貯蔵鉄が多いと重症化しやすいと勘違いして、ヘム鉄の摂取を控えている人もいるようです。フェリチンが高いからコロナが重症化するわけではなく、炎症が激しい結果としてフェリチンが高くなっているだけです。
私は師匠に、低フェリチンの成人男性や閉経女性をみたら、消化管出血を疑って内視鏡検査を勧めるように指導されてきました。成人男性や閉経した女性は鉄を失うことがあまりないので、鉄欠乏を認めた場合は、消化管からの血液のロスを来す疾患(胃癌や大腸癌)を疑いなさいということです。フェリチンが低くても高すぎても念のため癌を疑って検査をしたほうがいいです。