blog

標準治療は受けましょう

ネットで医療情報が溢れています。きちんとした情報を発信しているものもあれば、間違った情報や健康食品を売りたいがために誇大な効果を謳っているものもあります。どちらかというと間違った情報の方が多いように感じます。一般の方は医学教育を受けていないので何が正しいか間違っているかの判別が難しいです。自分の都合のいいように解釈する人も少なくありません。
先日大学のスキー部の1級先輩である前田さんに久しぶりにお会いしました。岡山大学第内科教授で岡山大学病院長をされています。血液内科が専門で、抗がん剤による治療について詳しいですが、前田さん曰く「肺がんは抗がん剤が良く効くようになったのでかなり余命が延びている」とのこと。私が医者になった20数年前は、抗がん剤を使ってもあまり効果がない感じでした。
がんになった場合、ステージに応じた標準治療があります。標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療のことです。切除可能ながんなら外科的切除が必要ですし、進行がんなら術後の化学療法をすることも必要になります。これらがいわゆる標準治療というものです。しかし、乳がんや子宮がんの患者さんの中には、手術を拒んで民間療法を行う人が他の部位のがん患者さんよりも多いように思います。乳房、子宮を切りたくない気持ちは分かりますが、それで命を落としたり縮めたりするようになっては元も子もありません。
確かに手術、抗がん剤治療は侵襲的な治療ではあります。手術、抗がん剤治療をしないといけない場合に重要なのが栄養アプローチです。栄養状態が悪い(貧血、低アルブミンなど)と創の治癒も悪くなりますし、免疫能も低下します。抗がん剤の副作用も強くでてしまい、逆に免疫力を低下させてしまいます。しかし、外科医や腫瘍内科医で栄養の重要性を患者さんにアドバイスすることはまずありません。
がんと診断された場合は、可能ならば術前から栄養アプローチをしていただきたいです。そして抗がん剤治療をする場合も、副作用軽減の栄養アプローチや抗がん剤の治療効果を高める高濃度ビタミンC点滴を併用するのがベストです。再発してからではなかなか有効な手段はないので、術後早期に栄養アプローチを行い微小残存がんをたたくことをお勧めします。