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逆プラセボ効果

ヘム鉄や亜鉛などの栄養素を摂取しだして、気分が悪い・頭痛がする・胃が痛い、などと訴える人が時々います。保険の鉄剤なら活性酸素をだすので嘔気や胃痛は起きますが、ヘム鉄はポルフィリンに覆われているので活性酸素を発生させません。なので胃痛、嘔気は理論的に起きません。
プラセボ効果というものがあります。偽薬効果とも言います。有効成分が含まれていないものを本物の薬だと言って患者さんに投与すると、効いた気がして症状が治ることを言います。実際、夜の救急外来を受診する常連さんの中には、生理的食塩水の注射をするだけで安心して症状が治まる人がいます。ヘム鉄や亜鉛は薬ではありませんが、患者さんの中には栄養素と薬の違いをきちんと理解していない人がいて、クリニックでだされるものは薬だと思い込んでいる人がいます。実際、サプリメントがなくなって購入する場合にも、薬がなくなったと電話してくる人が少なくありません。薬だと思って栄養素を飲むと、胃痛・嘔気・頭痛などの症状がでるのではないかと思います。
アミノ酸、ヘム鉄、亜鉛、ビタミンは人間の細胞を構成する生体分子なので、薬のような化学反応は起こさず、そのままの形(一部肝臓などで代謝されますが)で利用されるので副作用は起きません。薬は量を間違えてたくさん飲むと大変な副作用が起きることがありますが(量を守って飲んでも起きることがります)、栄養素は容量依存性に治療効果を発揮しますので不足分を補うだけの量を摂取しないといけません。栄養素と薬の違いをきちんと認識して栄養素なり薬を飲んでください。