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血液検査のその後が重要

栄養療法を行うにあたり必ずしないといけないのが血液検査です。細胞の分子濃度の乱れが症状や病気の原因になっているのかいないのかを調べないといけません。栄養欠損がない場合は栄養療法の適応になりません。また血液検査をうけるだけではだめです。結果をもとに適切な栄養アプローチを開始して初めて治療がスタートします。不安や気分の落ち込みなどの精神症状で受診する10代~20代前半の若い女性は親御さんと一緒に来院されます。

精神症状がある若い女性は、月経の影響と肉の摂取が少ないことからフェリチンが測定不能というケースがよくあります。「鉄不足が今の症状の主原因です。鉄の補充をしてフェリチンが増えればよくなります。ただここまで欠乏が著しいと食事だけではどうにもなりません。保険の鉄剤は活性酸素を発生させ胃腸障害を引き起こすことが多いのと、吸収率が悪いのでフェリチンがなかなか増えませんのでヘム鉄の摂取が必要です。ただ市販のものは含有量が少なすぎるのでフェリチンが増えませんので当院で処方する治療用のヘム鉄を摂取していただくのがいいです。」と説明しても、親御は分かりましたと言いつつヘム鉄を購入せずに帰るケースが時々あります。説明を理解できていないのか、レバーをどんぶり1杯食わしてフェリチンをあげようと思っているのかは分かりません。ヘム鉄をしっかり摂取すれば娘さんの人生も変わるのにな、残念、といつも思います。
血液検査は症状や病気の原因を見つけるための診断手段であり治療手段ではありません。治療は不足している栄養素を至適量(不足を補うだけの十分な量)を摂取することです。栄養療法はドーズレスポンス(容量依存性に治療効果を発揮)なので、少ない量をちびちび摂取していても症状の改善は見込めません。特に鉄は吸収されにくい栄養素です。処方通りに摂取していただくのが治癒への近道になります。