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成長期の子どもの食事

子どものころに、親から野菜もしっかり食べなさいと注意されたことがある人が殆どだと思います。野菜は食物繊維やビタミンC、カロチンなどが含まれているので食べないよりは食べた方がいいのですが、成長期の子どもとって野菜の優先順位は低くなります。
マクロビとか玄米菜食主義といって肉や魚などの動物性のものを食べずに野菜や果物だけを食べる食事方法があります。これは間違った食事方法です。野菜だけ食べていては鉄、ビタミンA、ビタミンB12、亜鉛、タンパク質などが不足します。ビタミンB12は野菜には含まれていません。
人間の細胞を作るのに20種類のアミノ酸が必要ですが、そのうち9種類のアミノ酸は体内で作ることができないので食事から必ず摂らないといけません。だから必須アミノ酸といいます。必須アミノ酸のバランスを表すものにプロテインスコアというものがあります。今ではアミノ酸スコアが使われていますが、アミノ酸スコアは基準が甘いので、患者さんに説明する時はプロテインスコアの方を私は使います。プロテインスコアが低い食材は必須アミノ酸の配合バランスが悪いので効率よく利用されません。卵のプロテインスコアは100ですが大豆は56しかありません。卵は含有している必須アミノ酸を100%利用できますが、大豆は5割ちょっとしか利用できないのです。魚は90前後、肉が90~80と圧倒的に動物性食品の方が必須アミノ酸を効率よく利用できるのです。
ほうれん草やひじきなどには鉄が多く含まれていますが、植物性の鉄は、非ヘム鉄なので吸収率が2~5%しかなく鉄の貯金がなかなか増えません。肉や魚に含まれるヘム鉄は吸収率が30%ほどあります。
骨が伸びるためにはタン白質、鉄、ビタミンC、亜鉛などが欠かせません。体格が大きくなれば循環血液量も増えないといけないので、造血のためにタン白質、鉄、ビタミンBが必要です。成長期の子どもに必要な栄養素は、野菜よりも肉、魚、卵の方に多く含まれておりますし、利用効率も高いので、これらを優先的に食べた方が健やかに成長します。