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栄養の摂取量は誰が決める?

栄養療法の成否の決め手は摂取する量が重要です。厳密に言いますと細胞での栄養濃度が是正されるだけの量を摂取しないといけません。栄養療法になじみがない人は、私が処方する栄養素の量に驚く人がいます。そして、何人かは過剰にならないんですか、副作用は起きないんですか?と心配されます。私も医師のはしくれですし、この道15年以上栄養素を処方しつづけています。そして行き着いたのがとにかく摂取する量が重要だと言うことが分かりました。
日本人の食事摂取基準というものが毎年発表されます。個々の栄養素の推奨量や上限量が書かれていますが、何を根拠にこの量を決めているのかよく分かりません。栄養の吸収、需要には個人差があります。子宮筋腫がある過多月経の女性と成人男性とでは摂取すべき鉄の量は全く違ってきます。たくさん摂ったからすべての人が過剰になるというものではありません。過多月経の女性はヘム鉄を1日9粒(54mg相当)摂取してもフェリチンは低値のままですが、成人男性がそんなに摂るとフェリチンは200~300ng/mlを超えてしまいます。ビタミンB依存体質の人は、少ない量で代謝が回る人の20倍も摂取しないといけません。日本人の食事摂取基準でのビタミンCの推奨量は100mg(0.1g)ですが、高濃度ビタミンC点滴では50g~100g1回の点滴で行います。推奨量の500~1000倍の量を点滴しているわけですが、利尿作用があるくらいで特に副作用がでることはありません。
薬は異物なので解毒排泄しないといけませんし、化学反応を体内で起こさせるので、過剰に摂取すると重篤な副作用がおきます。薬と栄養素を混同している人が多いので、過剰を心配するのだと思いますが、アミノ酸・鉄・亜鉛・ビタミンなどは細胞を構成する生体内分子なので薬のような副作用を心配する必要はありません。また、経口摂取した栄養素は、腸が判断して吸収するかどうか決めるので過剰にならない仕組みを人間は持っています。
慢性疾患は細胞の分子濃度の乱れ=栄養不足が原因なので、過剰を心配するよりも不足を心配してください。そして、しっかりと栄養素を摂取していただきたいです。