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鼻血が朝起きられない原因だった

朝起きられない児童・生徒が程度の差はあるでしょうが全体の1割近くいるそうです。朝起きられないことを主訴に小児科などを受診すると、血圧測定をされ変動が大きいと起立性調節障害という奇妙な病名を付けられ昇圧剤の処方が開始されます。私はこの「起立性調節障害」という病名が嫌いです。病態を正しく表していていないからです。
背が急激に伸びる思春期に多く見られる病態です。体格が大きくなる時には、タン白質や鉄などの栄養の需要が大幅に亢進し、細胞・組織レベルではこれらの栄養素が大幅に不足します。人間はミトコンドリアでエネルギーを産生して生きていますが、これらの栄養素が不足するとエネルギー産生が低下して、朝起きられない・血圧がうまく調節できない、などの症状を引き起こします。
普通、背の伸びが止まると栄養の需要が大幅に低下するので、鉄の貯金も自然と増え元気を取り戻すことが殆どです。つまり男子の起立性調節障害は自然と治ることが殆どです。しかし、背の伸びが止まっている男子生徒の中にも鉄欠乏が著明な子が時々います。ここで問診が重要になってきます。身内にピロリ菌感染の人はいないか?痔出血はないか?べジタリアン一家か?(肉を食べない家庭が時々あります)などを聞きます。私が、「鉄の貯金が減っている原因がよくわからない。成長が止まっていて鉄の貯金が減る場合は、痔出血、癌などを疑うんですけどねー」言うと、こんなことを言う親御さんがおられました。「毎日のように大量の鼻血をだす。今でも鼻血をよくだしている」私も小学生の時、夜中目が覚めると大量の鼻血を毎日のようにだしていました。しかし、中学生になってから自然とでなくなりました。自分の息子も小学生の時には鼻血を時々だしていましたが、中学生になってからは出ていないようです。そういう経験から、鼻血は小学生が出すもの、中高生はださないもの。」勝手に思い込んでいました。思い込みってよくないですね。これからは鉄不足の患者さんの問診に「鼻血をよくだしていませんか?」と聞かなければいけないと思った次第です。